テニス世界1位のヤニック・シナーがドーピング検査に2回引っかかりましたが、8月20日に裁定の結果、無実となり、世界中で話題となっています。
なぜ無罪となったのか気になります。
本記事では、ヤニック選手が無罪になった背景について、理由や物質について調査した結果をお届けいたします。
- テニス世界1位「ヤニック・シナー」がドーピングが話題
- 異議申し立てが認められて試合に出場
- 異議申し立ての証明方法
- クロステボールはなぜ禁止?
- 「酢酸クロステボール(Trofodermin)」含むスプレーを使用してしまった?(イタリアで問題視)
それでは、本記事をお楽しみください。
テニス世界1位「ヤニック・シナー」のドーピングが話題!なぜ出場可能?
2024年1月、テニスの全豪オープンで優勝し、生涯初のグランドスラムタイトルを手にし、2024年6月にATPランキングの「1位」になった「ヤニック・シナー」のドーピング検査が2度とも陽性で話題となっております。
パリ五輪は、「扁桃腺炎」を理由に欠場しています。
そんな「ヤニック」選手ですが、ドーピング検査が陽性でしたが、裁定の結果、「無実」という結果になりました。
どういうことなのでしょうか。
テニス世界1位「ヤニック・シナー」がドーピング
男子テニスの世界ランキング1位に立つヤニック・シナー(Jannik Sinner、イタリア)!
8月20日、テニスの不正監視団体「ITIA」は、薬物検査で「2度」禁止物質に「陽性反応」を示していましたが、無実の裁定という結果を発表しました。
禁止物質ということは「ドーピング」ということになりますが、「無実になった」というのはどういうことなのでしょうか。
オーストラリアのニコラス・キリオス選手は「馬鹿げている!2年間出場禁止にすべき(翻訳)」とSNSで発信しています。
検査の1回目は、3月10日、BNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2024)に行われました。
そこで、微量の「クロステボール(clostebol)代謝物」が検体された、とのことです。
クロステボールは、
世界反ドーピング機関(WADA)が常時禁止しているたんぱく同化薬
に指定されています。
続いて、検査の2回目は、8日後(3月18日)に行われた大会外での検査でしたが、やはり微量のクロステボール代謝物が検出され、陽性の結果となりました。
2度の陽性結果となり、「ドーピング」になってしまいました。
異議申し立てが認められて試合に出場
検査後に暫定的な資格停止処分を科されましたが、ヤニック選手は「2件とも異議申し立て」を行いました。
その結果、8月20日に異議が認められ、試合に出場することができるようになりました。
ITIAは
「(スポーツ仲裁機関の)スポーツレゾリューションズ(Sport Resolutions)が招集した独立機関は本日、テニス反ドーピングプログラム(TADP)の下での2件の反ドーピング規則違反に関して、イタリアのテニス選手ヤニック・シナーに責任もしくは過失はなかったと裁定した」
と発表した。
どうやって異議を証明し、「無実」を勝ち取ったのかと疑問に思います。
異議申し立ての証明
異議申し立ては、「検出された物質が意図的に服用したのではない」ということを証明しました。
ヤニック・シナー選手は、
と主張しました。
つまり、自身が意図して投与したのではなく、チームのサポートメンバー(理学療法士)を介して、禁止薬物が体内に入ったと説明。
なぜ自身ではなく、チームメンバーによるのでしょうか?
と主張しています。
そして、
つまり、
ということになります。
その場合、市販薬に含まれる「クロステボール」という成分がアスリートにとって選手声明を脅かす危険な物質で気になります。
テニスのような擦り傷などよくできそうなスポーツは、このような市販薬を使い、ドーピング疑惑がかけられてしまうことが多いのではないでしょうか。
このクロステボールとはどんな成分なのでしょうか。
ヤニック・シナーの使用したクロステボールはなぜ禁止?
クロステボールとはどのような物質なのか、調査してみました。
クロステボールとは
クロステボール(Clostebol)は「ホルモン関連薬」と「アンドロゲン受容体作動薬」として、タンパク質同化ステロイドとして禁止されています。
いわゆる、「筋肉増強剤」です。
組成式は「C19H27ClO2」の次のような構造の物質です。
よくわかりませんね。。。
クロステボールは、世界アンチ・ドーピング規定で記載されている「タンパク質同化薬」として禁止されている物質です。
こちらがアンチ・ドーピング機構により禁止物質に規定された物質一覧です。
クロステボールが含まれています。
ヤナック選手は、2回のアナボリックステロイドを服用したとして、ドーピング疑惑が浮上しました。
アナボリックステロイドとは、男性ホルモン(テストステロン)の同位体で、アミノ酸からタンパク質を合成する同化作用を持つ物質です。
クロステボールは、野球のダルビッシュが所属している、サンディエゴ·パドレスの看板打者「フェルナンド·タティス·ジュニア」が服用して摘発された薬物として有名です。
つまり、アスリートにとっては、危険な薬物に指定されている、ということです。
禁止理由は何?:健康被害とフェアプレーのため
クロステボールは、筋肉を増強させ、運動パフォーマンスを向上させるためフェア精神から外れるため禁止されています。
違反した場合、フェアプレイの観点から名誉を失い、社会的制裁を受けることになります。
例えば、トップアスリートを見て真似た子どもたちもいるため、犯罪になることもあります。
また、体内に高濃度でステロイド成分が存在すると、健康被害が後に出てしまうため、禁止されています。
危ない場合は、死に至ることもあります。
「投与する量や種類によっては副作用がすぐに出ないため、気を許して使い続けてしまう人がいます。これが最も危険で、症状として表れたら時すでに遅し。最悪の場合は死に至ります」
「酢酸クロステボール(Trofodermin)」含むスプレーを使用してしまった?
調べてみると、2020年にDrug Testing and Analysis (Drug Testing and Analysis)という雑誌において、「スポーツにおけるクロステボールの検出:偶発的なドーピング?」という論文が出ていました。
スポーツにおけるクロステボール誤用の検出は,特にイタリアにおいて,酢酸クロステボール(Trofodermin)を含む医薬品製剤の十分な利用性と,抗ドーピング研究所によるより敏感な器具の使用のため,最近,成長している。これらの症例のほとんどは,薬物の非意識的使用,またはそれを用いた関連またはチームマートとの接触によると主張されている。
イタリアの医薬品では、酢酸クロステボールを含んだ医薬品が利便性の観点から増えており、使用すると、アスリートがドーピングに引っかかる?との背景が記載されています。
実際に、「Trofodermin」で検索すると、医薬品スプレーがすぐに候補として挙がって出てきますね。
この酢酸クロステボールは、体内で「クロステボール代謝物質」に変換されるとのことです。
つまり、ヤナック選手は使用した市販薬には「酢酸クロステボール」が含まれており、接種後体内で「クロステボール代謝物質」に代謝変換され、ドーピング検査に引っかかった、ということになります。
「Trofodermin」で引っかかるイタリアのアスリートが多いというのは、注意しないといけないですし、意図せずドーピング検査で陽性になってしまうので、選手も怖いですよね。
日本においてもドーピング検査にひっかからないように、OTC医薬品はなっているのか、気になりますね。
まとめ
ドーピング検査に2回ひっかかったテニス世界ランキング1位の「ヤニック選手」ですが、裁定の結果、無実となりました。
意図的に禁止成分「クロステボール」を接種したのではなく、一般市販薬に含まれる「Trofodermin」がひっかかった模様です。
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